「怒るな働け」は本学園の創立者である嘉悦孝の言葉です。現代に生きる私たちには少し違和感というか抵抗感すら覚える言葉かもしれません。しかし、その意味は「つべこべ言わずに黙って働け」というものではありません。男尊女卑が当たり前の明治時代にあって、女性は男性の理不尽にいたずらに怒らず、社会に通用する学問を身につけて家庭を経営すべしと主張したのです。さらに、その実現のために創立したのが、女子の実学教育を行う機関であり、嘉悦学園の原点となっている「私立女子商業学校」です。もちろん、現代においては男性が外で働き女性が家を守るという概念は偏見でしかありません。しかし、当時における嘉悦孝の理念と実践はジェンダー平等に向けた果敢な挑戦だったのです。
「怒るな働け」を令和の時代に合わせて解釈するとどうなるでしょうか。「怒るな」は「感情的になるな」すなわち「理性的であれ」ということでしょう。では理性的であるためには何をすべきなのか。情報化が著しく発展し混乱状態にあるとも言える今日においては、流言飛語に惑わされない情報理解力と同時に、他人も自分も大切にする気持ち、自制心と自尊心を養う必要があります。そして「働け」とは、理性を持ちながら、他人のため自分のために何をなすべきかを判断し、みずから進んで様々な課題の解決に熱意をもって取り組めということではないでしょうか。そこには個としてさらには集団としての創造性も求められます。「怒るな働け」は時代を超えて現代でも立派に通用する理念なのです。
嘉悦学園には「かえつ有明中学校」「かえつ有明高等学校」「嘉悦大学・大学院」があります。それぞれが独自の方針とカリキュラムのもとに教育活動を行なっていますが、その根底にあるものは明治の時代から連綿と受け継がれてきた創立者の理念であり、各校の教育活動はその現代的な解釈に基づいた実践であると言えます。嘉悦学園各校での学びを通じて、冷静な頭脳と燃える情熱をもつ若ものたちが育ち、日本と世界のウェルビーイングを創造していくことを願って止みません。みなさまにもご共感いただけましたら誠に幸いです。